業種別ガイド

警備業のAI活用。
管制と内勤の「さばく仕事」を軽くする。

施設警備でも交通誘導でも、現場の隊員は今日も立っています。一方で、配置表づくり、朝の上番連絡の嵐、警備報告書の整理、埋まらない求人——事務所側の仕事は増える一方です。このページでは、警備会社の業務の流れに沿って、AIが効く場所と効きにくい場所を整理します。

警備会社の一日と、管制に集中する負担

警備業の朝は連絡から始まります。各現場に向かう隊員からの上番連絡が管制に集中し、電話が鳴りやまない。連絡が来ない隊員には折り返して確認し、急な欠員が出れば代わりに入れる隊員を探して電話をかけ続けます。施設警備なら夜勤明けの下番連絡もあり、管制員は一日中「受けて、記録して、埋める」に追われます。

時間を食っている場所を分解すると、こうなります。

これまで:連絡がすべて管制に集中 現場A 隊員 現場B 隊員 現場C 隊員 管制に電話が集中 受けて・転記して・折り返す 紙台帳・ホワイトボード 未着の見落としリスク AIを組み込んだ後:記録と検知はAI、判断は管制 隊員の連絡は今まで通り 電話・メッセージ AIが記録・整理・未着を検知 一覧表に自動でまとまる 管制は例外対応と欠員判断に集中 「全部受ける」から解放
上番下番連絡の before / after。連絡手段は変えず、記録と未着検知をAIに移す

AIが効く場所ベスト4

手間を減らす系①:上番下番の記録整理と未着検知

連絡の受け方そのものを変える必要はありません。効くのは、受けた連絡を自動で一覧に整理し、「予定時刻を過ぎても連絡が来ていない現場」を浮かび上がらせる部分です。管制員の仕事が「全件を受けて転記する」から「異常だけに対応する」に変わると、少人数の管制でも現場数を増やせる体制に近づきます。

手間を減らす系②:警備報告書・警備日誌の文章化

隊員の報告は「異常なし」の一言か、逆にメモの断片であることが多いものです。巡回時の気づきや来訪者対応を口頭やメモで残してもらい、AIが報告書の文面に整える運用にすると、内勤の清書作業が減り、書式も揃います。文章を書くのが苦手なベテラン隊員ほど、報告の中身は濃いのに紙には残っていない、ということが起きがちです。そこを拾えるのがこの使い方の価値です。

売上を増やす系①:契約先への報告品質で選ばれる

ビルオーナーや建設会社、商業施設との契約は、価格だけでなく「報告と連絡がきちんとしている会社か」で判断されます。日々の記録が整理されていれば、月次の報告書に事象の傾向(来訪者数の変化、注意が必要だった時間帯など)まで添えられるようになります。同業他社が手書きの日誌をそのまま出しているなら、報告の質は目に見える差別化になります。

売上を増やす系②:採用の一次対応と教育資料づくり

隊員の採用難と高齢化は、警備業で最も重い経営課題です。AIで求人文面の作り分け(施設警備向け・交通誘導向け、年齢層別の訴求)や応募への即時返信を仕組み化すると、せっかくの応募を返信待ちの間に逃すことが減ります。また、新任隊員向けの教育資料や現場ごとの引き継ぎ資料を、ベテランの口頭説明をもとにAIで文書化しておくと、教える側の負担が下がり、教育の質が人に依存しにくくなります。

POINT 警備業のAI活用は「現場の警備をAIに置き換える」話ではありません。隊員と管制の間、会社と契約先の間にある「連絡・記録・報告」という紙と電話の層を薄くする話です。現場の警備品質はそのままに、それを支える事務の体力を増やすのが狙いです。

警備業ならではの注意点

第一に、情報の機密性です。警備計画や建物の構造、緊急連絡網には契約先の安全に直結する情報が含まれます。外部のAIサービスに入れてよい情報の線引きと、入力データを学習に使わせない設定は、他業種以上に厳格に決めてから始める必要があります。

第二に、緊急対応の連絡はAI任せにしないことです。事故や侵入などの緊急時の第一報は、人が受けて人が判断する経路を必ず残します。AIが担うのは、緊急連絡網を常に最新に保つこと、連絡の記録を残すことまでです。

第三に、隊員側に新しい操作を求めない設計です。年齢層の高い隊員が多い会社ほど、「今まで通りの連絡方法のまま、裏側だけ変わる」形にしないと定着しません。

向いている会社・効果が限定的な会社

向いている現場数が10件以上あり配置調整が毎月の悩み/管制・内勤が少人数で連絡対応に追われている/契約先に月次報告を提出している/採用の応募対応が後手に回っている
効果が限定的現場が1〜2件で隊員も固定メンバー/報告書の提出をほぼ求められない契約のみ/経営者が管制も営業も兼ねており、まず記録を残す習慣づくりが先の段階

小規模の会社に無理な導入はすすめません。現場が少ないうちは、報告書の文章化だけ、求人文面だけ、と一点に絞る方が費用対効果の面でも現実的です。

よくある質問

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