お悩み別ガイド
納期問い合わせの対応に追われる。
「あれいつ届く?」の電話を減らす順序。
電話が鳴る。「先週頼んだあれ、いつ届く?」。事務員が現場に内線し、現場が作業の手を止めて調べ、折り返す——1本の問い合わせで3人の仕事が止まります。このページでは、進捗の見える化・出荷連絡の自動化・自動回答という順序で、納期問い合わせそのものを減らす方法を整理します。
納期問い合わせの本当のコストは「中断」
納期問い合わせの電話は、1本あたりの対応時間こそ数分ですが、実際のコストはそれより大きくなります。
- 割り込みのコスト。請求書を作っていた事務員の作業が止まり、電話後に元の集中に戻るまでにも時間がかかります。
- 連鎖のコスト。事務員が即答できないため、現場や仕入先に確認の連鎖が起き、1本の電話で複数人が止まります。
- 「折り返します」のコスト。折り返しの約束が積み上がり、忘れれば信用問題、覚えていても管理の手間になります。
そしてここが重要ですが、納期問い合わせは「お客様の問題」ではなく「社内の情報分断の症状」です。受注は営業の記録に、進捗は現場のホワイトボードに、出荷予定は配車表にあり、それを横断して答えられる人がいない。だからお客様は電話するしかなく、社内では確認の連鎖が起きます。電話応対の改善だけを考えると、この根本を見落とします。
手順1:社内の誰もが納期に即答できる状態を作る
最初の目標は、お客様向けの仕組みではなく、電話を受けた人がその場で答えられる状態です。案件ごとに「受注済み/製作中/出荷準備/出荷済み(予定日)」といった状態を1枚の共有シートやボードで持ち、現場が状態の変わり目にスマホから更新する。これだけで「現場に内線して調べる」連鎖が消えます。
大掛かりな生産管理システムは必須ではありません。必要なのは「全案件の状態が1か所にあり、鮮度が保たれている」ことで、道具はスプレッドシートでも成立します。更新の手間が定着の壁になる場合は、現場の音声メモや作業完了時の写真から、AIが状態更新のたたき台を作る形で負担を下げられます。
手順2:聞かれる前に知らせる(出荷連絡の自動化)
問い合わせの多くは「音沙汰がないから不安になって電話する」ものです。であれば、状態が変わるたびにこちらから知らせれば、電話の理由自体が消えます。
- 受注時:「ご注文を承りました。出荷予定は◯日です」
- 出荷時:「本日出荷しました。到着予定は◯日です」
- 遅延時:「申し訳ありません、出荷が◯日にずれます」
手順1の進捗データがあれば、この連絡はメールやLINEで自動送信できます。特に効くのは遅延の先回り連絡です。「遅れています」と聞かされる電話は不満を生みますが、先に知らされた遅延は多くの場合、予定の調整で済みます。問い合わせが減るだけでなく、信頼はむしろ上がります。
手順3:それでも来る問い合わせに自動で答える
手順1と2で問い合わせは大きく減りますが、それでも来る分には自動回答を用意できます。LINEやメールで注文番号や会社名を受け取り、進捗データを参照して現在の状態と予定日を返す形です。
注意点は、AIに納期を「推測」させないことです。自動回答が返してよいのは進捗データにある事実だけで、データにない案件や遅延がらみの相談は人に引き継ぐ設計にします。回答の正確さは元データの鮮度で決まるため、手順1の運用が固まる前に自動回答だけ入れると、間違った納期を高速で答える仕組みになりかねません。順序が大事です。
こんな会社に向いています / 向いていません
| 向いている | 受注から納品までに日数があり、その間の問い合わせが多い(製造・加工・卸・修理など)/納期を即答できる人が限られている/「折り返します」が日常化している/遅延の連絡が後手に回りがち |
|---|---|
| 効果が限定的 | 店頭販売が中心で「納期」という概念がほぼない/案件数が月数件で、全件の状況を全員が頭で把握できている/進捗を更新する現場の協力が得られる見込みがない(この場合は仕組みより先に運用の合意づくりが必要) |
よくある質問
-
納期の問い合わせにAIが自動で答えるのは、間違った納期を答えそうで怖いのですが。
もっともな心配です。自動回答はAIが納期を推測するのではなく、社内の進捗データをそのまま返す形で設計します。つまり答えの正確さは元データの鮮度で決まります。データ更新の運用が固まるまでは、自動回答を「担当者への下書き」に留める段階的な導入が安全です。
-
生産管理システムがなく、進捗はホワイトボードと現場の頭の中です。無理ですか?
無理ではありません。大掛かりなシステムがなくても、案件ごとの状況を1枚の共有シートで持ち、現場がスマホから状態を更新する形で「進捗データ」は作れます。まず事務所の誰もが納期を即答できる状態を作ることが、自動化の前段です。
-
出荷連絡の自動化は、お客様に冷たい印象を与えませんか?
定型の事務連絡こそ自動化に向いています。多くのお客様にとって出荷連絡は「早く正確に来ること」が価値で、手書きの温かみは求められていません。人の手は、遅延のお詫びやイレギュラーの相談といった、定型で済まない連絡にこそ残します。
-
納期遅延が多いのが根本原因な気がします。先にそちらでは?
その可能性はあります。ただし遅延の改善には生産や仕入れの見直しが必要で時間がかかる一方、「遅れそうなら先に連絡する」は今すぐ始められて、問い合わせ電話を確実に減らします。遅延ゼロを待たずに、連絡の先回りから着手する順序をおすすめします。
-
どのくらいの問い合わせ件数から自動化を考えるべきですか?
件数だけでなく「中断される人」で考えることをおすすめします。1日数件でも、答えられる人が事務員1人に集中していて、その人の業務が都度止まっているなら効果はあります。逆に件数が多くても即答できる体制がすでにあるなら、出荷連絡の自動化だけで足りるかもしれません。
あわせて読みたい
うちの納期問い合わせ、どこが詰まりの原因か、を先に診断します
受注から納品までの流れと、進捗がいまどこに記録されているかを伺えば、見える化から始めるべきか、連絡の自動化から入れるかをお伝えできます。売り込みはしません。LINEで現状を送っていただくだけで大丈夫です。
LINELINEで気軽に相談(無料)